メーカー
【製薬メーカーの業界動向】
製薬メーカーへの転職を考えると、業界の現状や今後といった動向が気になってくるかと思います。
ご承知のとおり、製薬メーカーは、長期に及ぶ高度な研究と莫大な開発費が必要です。そして、この莫大な開発費等の
コストを回収し、十分に利益が得られる企業活動を行わねばなりません。
海外の製薬業界では、1990年代から「主力品の特許切れ」「ジェネリック医薬品との競争激化」「新薬候補の不足」
といった3つの問題に直面し、業界再編の動きが激しくなりました。そして、莫大な開発費を捻出するために、
欧米企業の買収や合併などの大型M&Aが進みました。
海外の業界再編に影響を受け、国内でも2000~2010年代から
買収や合併が進んでいます。
主に医療用医薬品を扱う企業数は、2000年に478社→2019年104社※1へと大幅減少しています。加えて、外資系メーカーと内資系メーカーの提携や合併も進行中です。
この厳しい状況下、製薬メーカーは生き残りを賭けて、扱う医薬品を選択しています。
【多様な製薬メーカー/扱う医薬品で変わるビジネスモデル】
(1)医薬品の種類製薬メーカーは大きく分けて、医療用医薬品とOTC医薬品を製造しています。
2020年医療用医薬品市場規模は約10.3兆円※2で、OTC医薬品市場規模は約8,370億円※3です。
製薬メーカー大手は医療用医薬品を主力にして、OTC医薬品をサイドビジネスとしています。
※2:IQVIA医薬品市場統計2020
※3:矢野経済研究所予測
医師の処方に基づいて、薬局等で患者が購入可能な医薬品です。
さらに、新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)に分類されます。
長い研究開発期間をかけて創薬され、新しい成分の有効性・安全性が確認された後、国から認可を受けて発売される
医療用医薬品です。
新薬創出は莫大な開発投資が必要です。メーカーがコストを回収し利益を得られるよう、当該メーカーが
適した行政手続きをふんで特許権が設定登録された場合、一定期間(出願から20年、さらに5年延長可能な場合も)
独占する権利が保護されます。
新薬の特許満了後に製造販売され、新薬と同じ有効成分で作られる医薬品です。
様々な厳しい基準や規制をクリアし、新薬と有効性・安全性が同等であると国から認可を受けた後、発売可能となります。
そのため、新薬創出に比べ開発期間が大幅に短縮され、低コストで製造可能となり、価格設定も低くできます。
ドラッグストア等の対面でカウンター越しに購入する医薬品(Over The Counter)です。
一般用医薬品と要指導医薬品があります。
厚生労働大臣が「対象患者数が本邦において5万人未満であること」・「医療上特にその必要性が高いもの」などの条件に
合致するとして、指定した医薬品です。
Orphanとは「孤児」を表す英単語です。希少疾病用医薬品は開発コストの回収が見込めず、積極的に開発されない傾向に
ありました。このため「見捨てられた孤児のような薬」=Orphan Drugと名付けられました。
しかし、希少な難病だからこそ、新薬となる治療薬が必要といえます。
時流や国の政策推進、法改正で、製薬メーカーは扱う医療用医薬品を選択します。
例えば、これまでの新薬メーカーは、特許期間満了までに新薬の販促活動をして、疾患領域の第一選択薬にする
ブランド戦略を取りました。「特許期間満了後も第一選択薬として販売し続けて、確実に利益を得ること」が
ビジネスモデルの王道だったからです。
しかし、現在は「ジェネリック医薬品の市場拡大」により、変化せざるをえない状況です。
また、超高齢化社会で膨らみ続ける医療費削減のため、厚生労働省は国策として「ジェネリック医薬品の使用促進策
(2007年)」を推進しました。 この影響により、ジェネリック医薬品市場に参入する製薬メーカーは増加しています。
なお、オーファンドラッグは、1993年薬事法改正により本格的な公的研究開発援助制度が開始されました。厚生労働省の指定基準を満たす治療薬の場合、研究・開発が行いやすくなり、扱う製薬メーカーも増えています。
このように、新薬創出のみならずジェネリック医薬品市場にも参入する、又は領域特化して新薬創出する、
又はオーファンドラッグにも進出するといった、多種多様な製薬メーカーがあります。
【製薬メーカーで活躍する薬剤師】
さまざまな製薬メーカーにおいて、多くの薬剤師が色々な職種で活躍されています。 研究開発職・MR・MSL・CRA・DI・薬事申請・PMS等、それぞれのお仕事を後のページでインタビュー&ご紹介いたします。