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薬事申請

【医薬品メーカーにおける薬事申請】

 医薬品メーカー等で活躍する、薬事申請業務を行う担当者は「薬事担当」や
 「RA(Regulatory Affairs)」と称されます。
 薬事申請業務とは、「医薬品等の製造・販売および輸入販売する認可を
 受けるため、社内外の調整をはかり、厚生労働省に承認申請する業務」
 をいいます。対象製品は、医療用医薬品・一般医薬品・体外診断薬・医療機器
 ・医薬部外品・化粧品と広範囲に及びます。
 以下、医薬品メーカーにおける薬事申請担当者(RA)の業務をお伝えします。


(1)薬事申請の大まかな流れ

薬事申請がどのように承認されるのか、大まかな流れで掴めばRAの業務をイメージしやすいかと思います。

①薬事申請(医薬品)の大まかな流れ(厚生労働省)

 1)薬事申請担当者(RA)が厚生労働省にオンライン申請
 2)薬事申請担当者(RA)とPMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)との面談
 3)PMDAによる各種審査
 4)厚生労働大臣への報告
 5)薬事・食品衛生審議会による諮問と答申
 6)厚生労働大臣が認可・不認可を通知
このような申請の流れに合わせ、申請自体にともなう準備・社内調整・社外とのやり取りなども、医薬品メーカーにおける
薬事申請担当者(RA)の業務となります。

(2)薬事申請担当者(RA)の業務

薬事申請担当者(RA)の主要な業務は、以下3つがあげられます。

①治験現場のマネジメントやサポート業務

認可を受けられるよう、治験の現場管理を行います。また、治験自体が円滑に進むよう、現場の他職(CRACRC)のため、
手順書を作成するなどしてサポートします。
 ・GCP(医薬品の臨床試験の実施基準に関する省令)への現場対応
 ・SOP(治験の際、必ず守るべき基本的な業務手順をまとめた手順書)作成
 ・CRA/CRC等関係者と協力し、治験現場への修正依頼・改善提案・指導
 ・科学的不正に対する調査業務

規制当局への対応
規制内容を理解し、メーカー内が常に適切な対応を取れるよう働きかけます。また、規制当局の査察や監査の際は、
担当者として対応します。
 ・PMDA・FDA(アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の略称)・EMA(欧州医薬品庁)などの
  規制を把握
 ・PMDAなどの査察や監査への対応
 ・SOP(治験の際、必ず守るべき基本的な業務手順をまとめた手順書)等への反映

③薬事申請
厚生労働省の認可を受けるため、詳細に決められた規定に従い、薬事申請を行います。 審査において、PMDAの審査官に何度も粘り強く折衝しなければならないことも
あります。
 ・国内外におけるGCP監査計画の管理・対応
 ・コモンテクニカルドキュメント等の日米欧共通フォーマットへの対応
 ・国際共同治験への対応など

(3)薬事申請担当者(RA)を目指す際の注意点

①高い専門性が求められる
PMDAなど規制当局が要求するレベルに見合った専門的な文書等(例えば、有効性・
安全性を示すための科学的データによる証明)を提出しなければなりません。よって、非常に高い専門性が求められます。
最近では、特定分野に豊富な知見や経験がある薬事申請コンサルタントに外注される場合もあります。

(4)薬事申請担当者(RA)になるには・必要スキル

必要な資格はありません。薬剤師資格を持つ方も数多く活躍しています。しかし、医薬品に関する最新知識が必要な
職種であるため、常に勉強が求められます。加えて、薬機法などの法律に関する知識や、申請のプロセスで実施される
各審査と、それに伴うルール・省令なども理解しておかなければなりません。
加えて、以下の能力やスキルがあると望ましいとされています。

①コミュニケーション能力
メーカーにおける内部調整においても、規制当局との対応においても、多くの人に関わるため、コミュニケーション能力は
必須といえます。

②担当製品領域の医学的専門知識
規制当局への申請手続き・やりとりでも、担当製品領域の医学的専門知識がなければ、十分な対応は難しいといえます。

③スケジュールを管理・調整すること
薬事申請において、つつがなく認可を受けるためにもスケジュール管理や内部調整が必要となるからです。

④海外とのコミュニケーションに必要なビジネスレベルの英語力
薬事申請において、英語文献を参照することも、海外拠点とやりとりが発生することもあります。
また、グローバルな企業では海外拠点とも頻繁にやり取りしなければなりません。このため、担当製品領域の医学的かつ
専門的な問題を協議できるくらい、ビジネス英語力が必要となります。


【薬事申請だけじゃない、活躍する薬剤師】

医薬品メーカーの薬事申請にも薬剤師資格を持つ方は活躍されています。
他にも薬剤師が活躍しているCRADI研究開発職等についても、他ページでそれぞれのお仕事を
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