薬剤師キャリア図鑑 疲れた時のおうち時間 たまには自分の為に調合しませんか

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疲れた日は「自分のために」
調合しませんか?

とても多忙な薬剤師さん。いつも患者さんの為に一生懸命頑張っている、そんなあなたにちょっとだけリッチで優しいひとときをご提案します。

ブレンドで広がるアロマオイルと
ハーブの魅力をお家でも

家事や仕事に追われ忙しない毎日を送っている方々に必要なのは、やすらぎの時間。誰にも邪魔されない、ちょっと特別な時間の演出には、アロマオイルとハーブがオススメ。

「ホッとしたい」「癒やされたい」はたまた「今日は少し頑張ってみようかな!」といった気分やシーンに合わせて、アロマオイルとハーブをブレンドしましょう。

目次

まずはここから
アロマオイルの基礎知識

  • 実は古代から用いられていた「香り」の力

    病気や不快症状の治療に芳香成分を利用していたのは、なんと今から3000年以上も前。主に中東や中国、インドといった国々を中心に香りが利用されていたのだとか。

    ちなみに、当時はまだ精油(エッセンシャルオイル)の抽出技術は確立されておらず、人々は花を植物油に漬け込んで作る「香油」を使用していたのだそう。

    精油が誕生したのは10〜11世紀の古代ペルシャ時代。医学者のイブン・シーナが水蒸気蒸留法を発見し、精油の生産方法を確立。 彼の発見した水蒸気蒸留法は、アロマテラピーのみならず薬学分野でも重要な生産手段の1つとして知られています。

    長い年月を経た現在、精油は私たちにとってより一層身近な存在となりました。今後もアロマテラピーを中心に、 アロマオイルは様々な用途で私たちのライフスタイルに彩りをもたらしてくれることでしょう。

    実は古代から用いられていた「香り」の力
  • ココロとカラダに
    香りはどのように働くの?

    鼻から神経系を通じて脳に作用する

    芳香成分は、鼻腔を通じて嗅覚神経を刺激します。さらに嗅覚神経は、その刺激を電気信号に置き換えて脳へと伝達。感情に深く関わる大脳辺縁系や、記憶に関わる海馬、視床下部に伝わることで、私たちの心身に影響与えると考えられています。

    血液を通じて全身に作用する

    芳香成分を取り入れる経路は、鼻だけではありません。呼気を通じて肺の粘膜から血管を通って血液中に入る他、キャリアオイル等で希釈した精油を肌に塗布することで毛細血管やリンパ管を通して全身に運ばれると考えられています。

    ココロとカラダに香りはどのように働くの?

香りにもタイプがあるって知ってた?
アロマオイルの7つの香り

ひとくちにアロマオイルと言っても、その種類は実にたくさん。一般的に、250~ 300種類ものアロマオイルが存在します。

とは言っても、各アロマオイルの持つ香りの特徴はある程度似通っているもの。数多く存在するアロマオイルも、実は香りの系統に応じて7つのタイプに分けることができるのです。

ちなみにブレンドを行う際は、同じタイプに属するアロマオイル、または隣合わせの種類をブレンドするのがオススメです。

香りの種類
  • スパイス系

    スパイス系

    香辛料などから抽出された、スパイシーで刺激のある香りが特徴の精油。元気を出したいとき、やる気を上げたいときにオススメです。シナモン・ジンジャー・ブラックペッパーなど。

  • ウッディ系

    ウッディ系

    樹皮、葉、枝などから抽出された、森林浴をしているような豊かな香りが特徴の精油。心を落ち着かせ、リフレッシュさせたいときにオススメです。ティーツリー・シダーウッド・サイプレス・ユーカリ・ジュニパーベリーなど。

  • ハーバル系

    ハーバル系

    植物の葉、花から抽出された、爽快感のある香りが特徴の精油。気分をリフレッシュさせたいときにオススメです。クラリセージ・ペパーミント・ローズマリー・フェンネル・マジョラムなど。

  • シトラス系

    シトラス系

    レモンやグレープフルーツなどの柑橘系の果実や果皮から抽出された、爽やかで甘い香りが特徴の精油。気分を明るく、元気や楽観的な気持ちになりたいときにオススメです。グレープフルーツ・ベルガモット・マンダリン・レモン・オレンジなど。

  • フローラル系

    フローラル系

    花から抽出された、甘く優しさのある香りが特徴の精油。安心感が欲しいときにオススメです。ラベンター・ローズ・ジャスミン・ゼラニウム・カモミールなど。

  • エキゾチック系

    エキゾチック系

    中東や東南アジアなどの植物から抽出された、異国情緒を思わせる香りが特徴の精油。ムードを高めたり官能的な雰囲気を作りたいときにオススメです。サンダルウッド・パチュリ・ベチパーなど。

  • バルサム系

    バルサム系

    木の樹脂から抽出された、重く甘い香りが特徴の精油。心を落ち着かせ、気持ちを楽にさせたいときにオススメです。フランキンセンス・ベンゾイン・ミルラなど。

初めてでも大丈夫。
アロマオイルのブレンドを楽しむための準備

ブレンドの鍵となる3つのノート

精油はそれぞれ揮発するノート(速度)に差があります。ノートの種類は、揮発の速いものから順に、トップ・ミドル・ベースの3種類。

異なるノートの精油をバランス良くブレンドすることで、香りが長持ちするほか、時間の経過によって移ろう香りのグラデーションを楽しめるというメリットもあるのです。

ブレンドの鍵となる3つのノート
  • トップノート

    揮発が一番速い。ブレンドした場合は、まず最初に香りが立つものです。オレンジ・ベルガモット・レモングラス・ペパーミントなど。

  • ミドルノート

    揮発が中間速。ブレンドした場合はトップノートに続いて表れる香りで、ミドルノートによって全体的な香りの印象が決まります。カモミール・ジャスミン・ラベンダー・ローズなど。

  • ベースノート

    揮発が一番遅い。時間が経つとほのかに香り、数時間以上持続します。ブレンドした場合は、トップノートを定着させ、香りを長持ちさせる効果も。サンダルウッド・フランキンセンス・シダーウッド・ミルラなど。

ブレンドに必要な道具は4つだけ

  • 精油

    精油

    自分の好みに合わせて精油を数種類用意します。

  • ガラス製容器

    ガラス製容器

    調合に使用します。メモリ付きのビーカーがオススメです。

  • 付箋

    付箋

    試香紙の代用品です。ブレンドした香りを試す際に使用します。

  • 遮光瓶

    遮光瓶

    精油を保存する際に用います。劣化を防ぐ遮光瓶が最適です。

ブレンドをする際に意識したい4つのポイント

  • point1

    まずは目的の設定から

    「気持ちを落ち着けたい」「ぐっすりと眠りたい」など、アロマに求める目的を設定しましょう。

  • point2

    香りの相性を意識したブレンドを

    7つの香りのタイプを把握し、同じタイプ、または相性のいい隣合わせにある香りのタイプをブレンドしましょう。

  • point3

    強弱とバランスを意識して

    精油には香りの強いもの、弱いものがあります。香りの強い精油を入れすぎると香りのバランスが崩れてしまうことも。香りの強い精油を少なめに、弱い精油を多めに入れるのがブレンドのコツです。

  • point4

    ノートの比率は慎重に

    3つのノートの比率を考えながら慎重に組み合わせましょう。比率はトップ:ミドル:ベース=4:4:2または3:5:2がオススメです。

今日はどんな気分?
シーンに合わせてアロマオイルをブレンドしよう

ぐっすり眠りたい
  • ビターオレンジ精油 × 1滴

    ビターオレンジ精油 × 1滴

  • ラベンダー精油 × 2滴

    ラベンダー精油 × 2滴

リフレッシュしたい
  • マンダリン精油 2滴

    マンダリン精油 × 2滴

  • ペパーミント精油 × 2滴

    ペパーミント精油 × 2滴

元気が欲しい
  • ローズマリー精油 × 2滴

    ローズマリー精油 × 2滴

  • ゼラニウム精油 × 1滴

    ゼラニウム精油 × 1滴

  • ジュニパーベリー精油 × 1滴

    ジュニパーベリー精油 × 1滴

ストレスを解消したい
  • フランキンセンス精油 × 1滴

    フランキンセンス精油 × 1滴

  • ラベンダー精油 × 1滴

    ラベンダー精油 × 1滴

  • ベルガモット精油 × 1滴

    ベルガモット精油 × 1滴

イライラを吹き飛ばしたい
  • グレープフルーツ精油 × 1滴

    グレープフルーツ精油 × 1滴

  • ジュニパーベリー精油 × 2滴

    ジュニパーベリー精油 × 2滴

集中力が欲しい
  • ローズマリー精油 × 1滴

    ローズマリー精油 × 1滴

  • レモン精油 × 3滴

    レモン精油 × 3滴

アロマオイルの魅力を
余すことなく楽しむために

ブレンドしたアロマオイルを楽しむ方法はたくさん。
毎日の生活で気軽にアロマオイルを楽しむ方法をご紹介します。

  • 芳香浴

    芳香浴とは空気中に精油を拡散させ、鼻から芳香成分を取り入れる方法のこと。
    最も手軽な楽しみ方は超音波式のアロマディフューザーを使う方法です。

    アロマオイルをミスト状にして空気中に拡散することができるため、初めての方にもオススメ。
    マグカップやアロマライトを使っても芳香浴を楽しむことができます。

    芳香浴
  • アロマバス

    アロマバスとは浴槽や洗面器にアロマオイルを落として楽しむ方法のこと。
    いつものバスタイムが、ちょっぴりリッチな時間に。

    お湯で温めたタオルにアロマオイルを数滴落としてゆったりとアロマの香りを楽しむのもオススメです。
    アロマの香りに包まれながら、極上のリラックスタイムを楽しみましょう。

    アロマバス
  • アロママッサージ

    リラックス効果が期待できるアロママッサージ。お好きなアロマオイルをキャリアオイルで希釈した後、気になる部分をマッサージしていきましょう。

    マッサージをする前に全身の血行をよくするとさらに効果的です。軽くストレッチをしたり、湯船に浸かって体を温めてから行うことをオススメします。

    アロママッサージ
  • アロマスプレー

    ブレンドしたアロマオイルに精製水や植物性エタノールを加えれば、オリジナルのアロマスプレーに。 お部屋の空間はもちろん、リネン等に軽くシュッとひと噴きするだけで、癒しの香りが優しく漂います。

    小さめのアトマイザーに入れておけば、外出先でも手軽にアロマの香りを楽しめるというメリットも。ブレンドするアロマの種類によっては消臭効果や虫除け効果も期待できるので、実用性も抜群です。

    アロマスプレー

ハーブを楽しむための
基本の「キ」

  • ハーブの歴史を覗いてみよう

    古代ギリシャ時代、医学の祖と呼ばれるヒポクラテスは、400種にもおよぶハーブを処方したといわれています。 その後、ドイツの修道院を中心にハーブを利用した臨床医学が広まりました。

    中世では、キリスト教がハーブの歴史に大きな影響を及ぼしたのだとか。一部の修道院を除き、あらゆる癒しが禁止されてしまうことに。 一方で、癒しを禁止されなかった修道院では薬草園が作られ、薬草酒が盛んに製造されるなどハーブを使用した治療も行われていたと伝えられています。

    薬草、つまり医療目的で使用されていたハーブが、いつしか嗜好品としての側面を持ち始め、現在では私たちの生活に癒しをもたらしてくれています。

    芳香浴

ハーブの種類

ハーブは、3つの種類に分けられます。
ちなみに、ハーブティーではドライハーブを使用することが多いため、本章ではドライハーブを前提にご紹介します。

  • フレッシュハーブ

    フレッシュハーブ

    摘み立てのハーブのこと。美しい色合いと爽やかな香りが特徴。水分量が多いため、ドライハーブと同量の成分を取り出すには4倍の量が必要。

  • ドライハーブ

    ドライハーブ

    ハーブを冷風に当てて乾燥させたもの。フレッシュハーブと比べ、季節問わず手に入りやすい上に成分も濃いのが特徴。シャープな香りと風味を楽しんで。

  • 精油

    精油

    ハーブの花、葉、茎、根、果実、果皮、種子から抽出したオイルのこと。食用以外(芳香浴やアロママッサージ)の用途がメイン。

今の気分にぴったりな
ハーブティーのブレンドはどれ?

元気が欲しい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • ルイボス小さじ1

    ルイボス小さじ1

  • ローズ小さじ1

    ローズ小さじ1

  • リコリス少々

    リコリス少々

  • ハイビスカス小さじ1/4

    ハイビスカス小さじ1/4

スッキリしたい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • カモミール小さじ1/2

    カモミール小さじ1/2

  • ペパーミント小さじ1/2

    ペパーミント小さじ1/2

  • オレンジピール小さじ1/4

    オレンジピール小さじ1/4

ぐっすり眠りたい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • リンデン小さじ1

    リンデン小さじ1

  • レモンバーベナ小さじ1

    レモンバーベナ小さじ1

  • カモミール小さじ1/2

    カモミール小さじ1/2

リラックスしたい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • カモミール小さじ1

    カモミール小さじ1

  • リンデン小さじ1

    リンデン小さじ1

  • オレンジピール少々

    オレンジピール少々

  • オレンジフラワー小さじ1/4

    オレンジフラワー小さじ1/4

ストレスを解消したい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • カモミール小さじ1

    カモミール小さじ1

  • ペパーミント小さじ1

    ペパーミント小さじ1

  • シナモン1cm

    シナモン1cm

集中力が欲しい

淹れ方:熱湯360cc〜400ccをポットに入れ、3〜5分間蒸らす

  • ペパーミント小さじ1

    ペパーミント小さじ1

  • ローズマリー小さじ1/4

    ローズマリー小さじ1/4

  • シナモン4cm

    シナモン4cm

美味しいハーブティーの淹れ方

ブレンドしたハーブの力をしっかり引き出すためには、ちょっとしたコツが必要。
ブレンドによって高まったハーブの織りなす世界をより一層引き立てる方法をご紹介します。

  • point1

    ポットをお湯で温める

    あらかじめお湯でポットをあたためておきましょう。お湯を注いでポット全体が熱を帯びてきたら、一旦お湯を捨てます。

  • point2

    ポットに熱湯をゆっくりと注ぐ

    温めたポットにドライハーブを投入したら、熱湯(95℃位)を注いでハーブの有効成分をたっぷりと抽出しましょう。1杯あたり180ccが目安。ドライハーブの量は、湯量に合わせて調節してくださいね。

  • point3

    蓋をして蒸らす

    お湯を注いだ後は、ポットの蓋を素早く閉めて「蒸らし」の工程へ。理想的な蒸らし時間は、 ドライハーブに使用されている部位によって変わります。この点は次の章で解説します。

  • point4

    ティーカップに注ぐ

    蒸らしを終えたら、ポット自体を軽く揺らします。あとは茶こしを使ってハーブティーをカップにゆっくりと注いでいきましょう。

部位によって変わる蒸らし時間

ハーブは、部位によってそれぞれ特徴が異なるため、成分を抽出する蒸らし時間の調整が大切です。
異なった部位をブレンドする際は、どのハーブをメインにするかによって蒸らし時間やハーブの量を調整しましょう。

  • 花

    蒸らし時間は、3分間。香りが飛びやすく、長く蒸らすと苦味が出ることもあるため要注意。

  • 葉

    蒸らし時間は、3〜5分間。強い風味や香りを抑えたいときは、時間を短めにすると良いでしょう。

  • 根

    蒸らし時間は、5〜7分間。時間をかけて蒸らすことで、根にぎっしり詰まった有効成分を抽出できます。

  • 種

    蒸らし時間は、5〜7分間。根と同じく、蒸らし時間は長めに設定。種子を軽く潰しておくと香りが強く立ちます。

色、香り、風味…五感で楽しむ

ポットでの蒸らしからティーカップで口に運ぶ瞬間まで、その全てがハーブティーの持つ揺るぎない魅力です。
色(視覚)、香り(嗅覚)、そして風味(味覚)...。ハーブティーは、五感を使って楽しみましょう。

  • 色(視覚)

    色(視覚)

    茶葉をポットで蒸らす「待ち時間」もまた、ハーブティーの魅力の1つ。ポットの中でジャンピングする茶葉が、湯の色を染めていく様子にうっとり。

  • 香り(嗅覚)

    香り(嗅覚)

    ポットの蓋を開けた時に広がる香りをゆっくりと吸い込みましょう。ハーブの心地よい香気が鼻腔をスッと抜け、心を癒してくれます。

  • 風味(味覚)

    風味(味覚)

    ゆっくりとティーカップへと注いだら、あとはハーブの持つ素晴らしい風味を心行くまで味わうのみ。 ブレンドによって高まったハーブの風味が舌の上で花開きながら、体を内側から温めてくれることでしょう。

アロマとハーブのブレンドで
至福のひとときを。

アロマオイルやハーブは、香り、風味、効能など魅力がたくさん。
気分や天候、シーンに応じて自由自在にアロマオイルやハーブをブレンドできれば、きっと自分だけの至福のひとときを過ごせるはず。

ちょっと疲れた日の夜やホッとひと息つきたい時に。ブレンドで広がる香りの世界を、皆さんも体験してみてはいかがでしょうか。