CAREER PICTURE BOOK

薬剤師キャリア図鑑

佐々木健さん

佐々木健さん

在宅薬剤師

  • 在宅
  • 調剤薬局

今回お話をお伺いした佐々木さんは、薬剤師としては珍しいキャリアをお持ちの方で、薬学部を卒業後に就職活動を全くせずに旅人からキャリアをスタートされました。 その後、いくつかの企業で薬剤師として働きながら、他職種もご経験されたり、薬剤師の転職支援も行ったり、実に様々なキャリアを積まれてきました。

そんな佐々木さんに、キャリアチェンジのきっかけや仕事で大変だったこと、働く上でのやりがいやこれから薬剤師が活躍するために必要なことなどについて、 インタビューをしました。


【1:旅人としてスタート、薬剤師として就職するまで】

-それでは、早速始めさせていただきます。まず初めに、薬剤師になろうと思ったきっかけは何だったのですか?

佐々木 私の「薬剤師になろうとしたきっかけ」を聞いたら、他の方と違い過ぎて驚くと思います。もともと私は生物が好きだったので、獣医学部がある山口大学を受験しました。他に滑り止めとして私立大学を受験したのですが、理系ということで東京の昭和薬科大学を受験しました。

当時の昭和薬科大学は移転したばかりで、キャンパスがとてもきれいで衝撃を受けたことを覚えています。その時感じた衝撃が強すぎたせいなのか、東京への憧れなのか、自分の中で急に「東京に住みたい!」という感情が湧いてきました。そして、昭和薬科大学に合格したことが分かった後に、「薬剤師になりたいから昭和薬科大学に行きたい」と両親に伝えました。

―そうだったのですね。ご両親も驚かれたのではないでしょうか?

佐々木 今まで両親に薬剤師になりたいと一度も伝えたことがなかったので、「そんなこと初めて聞いた」とかなり驚き、学費の問題などについて小言を言われながら、しぶしぶ送り出していただきました。

―東京に住みたいという願望が、薬剤師になったきっかけなのですか?

佐々木 きっかけはそうなります。理由が不純といいますか、いい加減過ぎて驚きますよね。

―昭和薬科大学ご卒業後は、どちらに就職されたのですか?

佐々木 就職活動はしませんでした。周りの友人たちが就職活動をしている時期は、自分は国家試験に合格しない可能性を考えていたため、就職活動を出来ずにいました。でもふたを開けてみると自己採点で100%合格していることが分かりました。嬉しかったけど、そのまま就職するのはどうしても嫌で、アルバイトでためたお金で「青春18切符」で全国を旅していました。

ですが、四国の四万十川に行ったあたりで金銭的に厳しくなり、それ以上旅を続けるのが難しい状態になってしまいました。私の中でも今後どうしたらいいか非常に悩んでいた時期だったため、一度、大学でお世話になっていた教授に相談をしに行きました。

-教授はどんなアドバイスをくださったのですか?

佐々木 教授は「一度働いてみたらどうだろうか」と言ってくれました。教授から就職先として紹介されたのが神奈川県の調剤薬局(A社)で、薬剤師として調剤薬局で働く仕事でした。就職活動をしてこなかった私は、その時は薬剤師が薬局で何をするのか全く分かりませんでしたが、特に断る理由もなかったのでA社に入社しました。

―そうなのですね。働く条件などこだわりはなかったのですか?

佐々木 特にこだわりはなかったですが、断る理由もありませんでした。当時、様々な会社があちこちで薬局を立ち上げ始めて、処方箋も院内から院外に移っていくということがピークの時期でした。ですが、そのようなピークに乗っている会社できちんとした会社は少なく、不完全な会社が多い状況でした。

そのような中で、A社には教育やシステム、薬局のデザイン、キャリアアップなどまで、制度としては色々と揃っていました。それを聞いたときに「この会社を断る理由はないのかな」という感じはありましたね。

【2:薬剤師の人材紹介会社への転職が、人生の転機に】

-最初に入社したのは調剤薬局(A社)でしたが、その後はどのような経験をされたのでしょうか?

佐々木 A社を辞めた後は、薬剤師の人材紹介会社(B社)に入社しました。経緯としては、A社で働いている時に会社内で色々と上手くいかないことが出てきて、転職活動をしようと考えたのですが、今度は別のキャリアというか、一般企業のようなところで働きたいと思っていました。

そして、一般企業についてWEBで検索していたら人材紹介会社のB社を見つけまして、薬剤師の人材紹介会社なら一般企業を紹介してくれるかもしれないと直接連絡してみると、社長から「来てほしい」というメールがありました。実際に会社へ行ってみたところ、当時は社長と事務の二人しかいない小さな会社だったのです。

-それがB社へ入社するきっかけにつながったのですか?

佐々木 そうですね。もともとはB社から仕事を紹介してもらうつもりだったので、最初は広告代理店のような会社を紹介されました。ただ、その広告代理店の面接には落ちてしまいまして、その理由は私の考えが甘すぎるということでした。今考えれば、当時話していた内容は非常に甘い考えだったと自分でも思います。

それで、また別の会社を紹介してもらおうとB社の社長のところに行ったら、「これから会社の事業を大きくしたいと思っているのだけど、佐々木さんはすごく話が上手だから、ぜひうちの会社で働かないか」と言ってもらったのです。

-B社から逆にスカウトされたという感じですか?

佐々木 そうですね。今考えると、そこからB社で働き始めたことが人生の大きな転機になったと思います。最初は人材紹介会社で働くことに対してチャンスだと考えましたが、それは世の中の転職市場がわかると思ったからです。

B社に入社した当時は、転職支援の会社自体にはあまり興味はなく、そこで1年くらい働いて、自分が一番いいと思った会社に転職できればいいなと漠然と考えていました。

【3:営業で全国を飛び回り、人付き合いが苦手から好きに変わる】

-薬剤師の人材紹介会社のB社へ入社後は、どんな仕事をされたのですか?

佐々木 最初はひたすら転職希望者に電話をかけてアポイントを取り、転職先を紹介する仕事を繰り返していました。その後、新卒の薬学生の合同説明会や、新卒向けの冊子を作りたいという話がありました。B社では本当に様々なことをやらせてもらいまして、社長も私も営業なんて今までやったことがなかったのにも関わらず、急に「営業に行ってきて」と言われて営業もしました。

営業の仕事では、緊張しながら様々な医療系の会社へ電話をしましたが、最初はアポイントを取るために人と話すことにとても緊張してストレスを感じたことを覚えています。

-最初は大変だったのですね。やりがいはあったのでしょうか?

佐々木 はい、次第に楽しくなっていきました。最初は東京都内の会社へアポイントを取っていましたが、次第に他の地域にも広がっていて、東京以外の調剤薬局チェーンやドラッグストアともコンタクトを取るようになりました。

-人との関わりが多かったわけですが、仕事上の人間関係などはどうだったのですか?

佐々木 次第にストレスなく話せる関係性が築けてきて、仲良くなる人も増えてきました。仕事の後に食事に行くということもできる関係になり、人間関係が広がっていくと「あぁ、この仕事は楽しいな」と思うようになりました。東京が中心の営業から始まり、そこから範囲を広げて北海道から沖縄までいろんな地域を飛び回りました。

-全国を飛び回ると、人間関係もさらに広がったのではないでしょうか?

佐々木 そうですね。薬剤師に仕事を紹介することも多く、紹介した人から「ありがとうございました」と嬉しい言葉をもらうこともありました。また、仕事で悩んでいる薬剤師や転職したい薬剤師から「よい会社を紹介してください」と声かけてもらうこともあり、そういった人とのつながりがとても楽しかったです。

-お知り合いの薬剤師の仕事探しのお手伝いをすることも多かったのですね。佐々木さんは、以前から人付き合いが得意だったのですか?

佐々木 人付き合いは、どちらかと言うと苦手でした。昔は人と関わり合うことが本当に苦手で、他人と一緒に飲み会をするというのも考えられないくらいでした。ですが、その後に転職業界に入ってからは、人付き合いがとても好きになって、かなり変わりましたね。

-それは意外ですね!働く環境によって、考え方や人間性が変わったのでしょうか?

佐々木 そうだと思います。人材紹介会社のB社で色々な人から感謝されたのが嬉しくて、人付き合いに対する苦手意識がなくなりました。仕事を好きになっていく中でモチベーションもどんどん上がって、やりがいを持って仕事をしていました。

【4:薬剤師の人材紹介の会社を立ち上げ、多くの薬学生をサポート】

-薬剤師の人材紹介会社のB社では、仕事にやりがいを感じて高いモチベーションで働けていたということでしたが、この会社から転職した経緯を聞かせてください。

佐々木 B社では仕事が楽しくて、モチベーションも上がって働いていましたが、色々と思うところがあって退職しました。退職後は、当時の様々な知り合いや調剤薬局チェーンの人事の方から、「佐々木さん、本当に辞めてしまったの?」と驚かれていました。

-佐々木さんは多くの方から慕われていたのですね。退職後はどうされたのですか?

佐々木 B社を辞めたあとに、あるドラッグストアを経営している会社の会長が、転職先の紹介をしてくださいました。紹介していただいた会社は、当時、化粧品の事業を行っていたのですが、全く稼働していない状態でした。

それで、その会社の化粧品事業をする人がいなくて困っているので佐々木さんにお願いしたいという話があり、さらに、ドラッグストアに薬剤師を紹介する人材紹介業もやりたいと相談されました。そのような流れから、その会社から化粧品事業と人材紹介業を行う子会社(C社)として会社を譲渡されました。

-そうなのですね!それは佐々木さんの人徳や人間関係の繋がりから得た成果ではないですか?

佐々木 そうかもしれないですね。そのC社での薬剤師の人材紹介業の中で、薬学生の就職活動支援を始めたのですが、そのサービスがきっかけとなり、薬学生・薬剤師の人材紹介会社として(株)ビーズリンクという会社を立ち上げることになりました。

ビーズリンクでは、薬学生の就職サポートを中心に様々なサービスを行っていましたが、最終的に経営苦となってしまい、教育関連業界の会社へ事業を譲渡することになりました。ですが、私が行っていた薬学生向けの合同説明会などはそのまま引き継いでくれているので、今でもイベントが行われるときは仕事として時々関わっています。

その教育関連業界の会社では、薬学生だけでなく、高校生、専門学生、大学生などの進路相談等のイベントも行っているため、専門学校や大学からの依頼で、私が高校生のキャリア相談の対応をすることもあります。

-実に目まぐるしく進んでいったのですね!会社を譲渡されてから、ご自身はどうされたのですか?

佐々木 会社を譲渡してからも、2年ほど一緒に仕事をしていました。譲渡先でのイベントでよく利用していた美容専門学校の理事長から、薬剤師だったらうちの学校で授業をやってほしいという相談を受けて、現在も講師として授業を行っています。

最初は週1回の1コマという話だったのですが、最終的に授業の回数がかなり増やされてしまって、なかなか大変です。

【5:薬局の外に出て他職種と連携する、在宅医療のやりがい】

-旅人から始まって、薬剤師から一般企業の営業へ、その後はご自身で薬剤師の就職・転職支援の会社を立ち上げるなど様々なことに挑戦し、実に多様な働き方をされてきた佐々木さんですが、現在のお仕事についてお伺いさせてください。今は、調剤薬局で在宅医療の仕事をされているとのことですが、今までの仕事と比べていかがですか?

佐々木 今は、薬局・病院・看護・介護といった医療に関わる多業種をまとめてグループ経営し、地域に根差した新たなヘルスケアサービスの構築を進めている会社で、薬剤師として働いています。

調剤薬局で在宅メインの仕事をしていますが、今までの薬局での働き方と違って、在宅医療の仕事は自分で時間を作って車で薬を届けられるので、同じ調剤室の中でずっと調剤して投薬しているより楽しいです。

一日中、外に出て東京都内の様々な地域をずっと回っていますので、他職種の方と関わることも多いです。看護師や医師や社会福祉士の皆さんと連携して仕事ができることは、やりがいを感じますし、働くモチベーションも高まっていると感じます。

-普段からそれだけ色々な方と関わっていると、仕事につながるのではないのでしょうか?

佐々木 そうですね、仕事につながっていると思います。今の薬局には約100位の病院から在宅の処方箋を持ってきてもらっていますので、評価されていると感じています。

あとは、病院の社会福祉士から仕事の依頼が来るということもあります。何か特別な営業をしているわけではないのですが、親しくなって食事などにも行くようになると、その関係性がきっかけとなって、処方箋が増えますね。

【6:在宅では、辛いというより「困る」ことが多い】

-「薬剤師は薬局の外に出て多くの人と関わって仕事をするのが苦手な方も多い」というイメージがありますが、佐々木さんはストレスを感じることはないのですか?

佐々木 たしかに多くの薬剤師にとって、人の交友関係は非常に苦手な部分だと思います。個人的に、これは今後の薬剤師の課題の一つだと思っています。

私は、今の仕事をしていて嫌なことはほとんどないのですが、困ることはあります。以前に認知症の患者様に薬を届けるために自宅へ伺った際に、夕方4時に訪問したのに「こんな早朝に何の用だ!昼間に来い」と言われてしまい、ずっと玄関を開けてくれなかったことがありました。

-それは大変でしたね。患者様に言われて辛かったことはありますか?

佐々木 そういったことはないですね。患者様の場合は「困ること」の方が多いです。例えば、非常に暗くて、霊的に怖いなど感じる雰囲気の家に在宅で訪問したときに、「あなたの首のあたりに女の人が見えます・・・」というようなことを言われたこともあります。冗談のような言い方ではなく、真顔で言われてしまい驚きました。

あとは、患者様が誰かに物を取られたと主張されて、犯人扱いをされたヘルパーさんもいました。ですので、辛いことというよりも、どうしたらよいのか困ってしまうことのほうが多いですね。

-辛いというより困る、在宅ではそういう状況が多いのですね。仕事における人間関係については、どうですか?

佐々木 患者様や医師など他職種の方との人間関係は、時間が決まっているためコントロールしやすいので問題ないと思っています。

それに比べて、一緒に働くスタッフで合わない人がいると大変です。合わないと感じるようなスタッフはすぐ辞めてしまう傾向もありますが、そういう人との人間関係に困ることは多いですね。

【7:どんな仕事であっても、楽しく働いていきたい】

-今度は、仕事で喜びを感じたことや、働きやすい職場についてお伺いさせてください。まず、一緒に働くスタッフから言われて嬉しかったことはありますか?

佐々木 言われて嬉しかったことは、スタッフからも外部の医師、看護師、社会福祉士など多職種の方も含めてですが、「この仕事は佐々木さんにしか頼めないよ」と頼ってもらえた時は、素直に「あぁ、がんばって良かったな」と嬉しくなります。

-頼りにされているのですね。患者様から言われて嬉しかったことはありますか?

佐々木 患者様と向き合う中で嬉しいことは、さりげない「助かった、ありがとう」といった感謝の言葉は、当たり前ですが嬉しいですね。薬をお届けできてよかったなと思いますし、「佐々木さんと話せてよかった」と言っていただけると、働く上での喜びになりますね。

-嬉しいお言葉ですよね。では次に、色々な職場を経験されている佐々木さんですが、もしも仮に今、新卒に戻れるとしたらどんなところに就職したいですか?

佐々木 新卒に戻ったら、もったいないので全く違う仕事をするかもしれません。薬局は在宅で8年くらい働いていて楽しいので、また働いてもいいのですが、せっかくなら人生違うことをやってみたいですね。例えば、MRなど、別の職業を試してみたいと思います。

-それでは、もし新卒で就職したときのご自分に声をかけるとしたら、何と伝えたいですか?

佐々木 「もうちょっと真面目に働こうか」と声をかけたいですね。私は大学生のころに就職活動しなかったくらいなので、最初はあまり仕事に興味がありませんでした。

ですが、薬剤師の人材紹介会社のB社で営業の仕事をするようになってから、性格も仕事に対する考え方も大きく変わりました。薬剤師だけで働いていたら、今のような人間性や価値観ではなかったと思います。B社との出会いは、本当に私の人生の転機です。

-なるほど、いい出会いをされてきたのですね。佐々木さんは、生まれ変わっても薬剤師になりたいですか?

佐々木 そうですね、薬剤師になってもいいと思います。なりたいというより、なってもいいという感覚に近いです。薬剤師に対する愛の強さですよね。自分の性格は、薬剤師になったからこうなったのかもしれないですが、性格上どんな仕事も楽しく働きたいと思う人間だと思っています。

もし飲食店で働いていたら、コロナで苦しみながらも楽しく働いていると思いますし、営業をしていたら、文句を言いながらも、それはそれで楽しんで営業をしていると思います。つまり、生まれ変わっても薬剤師になりたいというわけではないのですが、薬剤師であれば薬剤師でいいし、楽しく働いていたいと思います。

【8:これからの薬剤師に必要なスキルとは】

-これから薬剤師として活躍するのに必要なスキルは、何だと思いますか?

佐々木 これからの薬剤師に必要なスキルは、対人スキルだと思います。私の印象では、薬剤師を選ぶ人=マニアックな人が多いので、そもそも対人スキルやコミュニケーションを大事にしようと考えている人が少ないように思います。

在宅訪問の仕事をしていて強く感じているのが、在宅の件数がとても増えていることです。今後ある程度は規制緩和されて、薬剤師がやらなくてもいい仕事が増えてくる可能性もありますが、やはり在宅介護の仕事、在宅医療の仕事は、現場に出ているとまだまだ無くならないなという実感があります。

そのような環境下で働くには、どうしても対人スキルが必要になってきます。様々な職種の人たちと話をしたり、患者様に受け入れていただけたり、患者様のご家族からも不満に思われないようにするためのスキルとして、身に付けておくべきです。

そのような対人スキルがないと、自ら薬剤師としての活躍の場を狭めてしまうと思います。努力をして身に付けられるのであれば、対人スキルがあった方が仕事は断然やりやすくなります。

-対人スキルの他に、必要になってくるスキルはありますか?

佐々木 あとは語学力も必要になってくると思います。英語だったり中国語だったり、在宅の仕事をしていると、日本語を話せない海外の患者様と向き合う機会も多いです。会話ができないのは本当に困りますから、語学力は身に付けておくとよいスキルの一つです。

-また、コロナ禍で働き方が変わったこと、薬剤師として感じることはありますか?

佐々木 今の在宅の仕事に関していえば、仕事が非常に増えました。病院のコロナ病棟が満床で入院できなくなったこともありますし、感染対策で入院すると面会ができずに家族や友人に会えなくなってしまうことから、末期がんの患者様などが在宅に切り替えています。そういった背景から、在宅の仕事は非常に増えました。

また、感染症対策の部分も大きく変化したと思います。マスクはもちろんですが、在宅で患者様の自宅に入ったら、まず「洗面所をお借りしてよろしいでしょうか」とお伺いするなど、感染対策を徹底している姿勢を示すようになったことは変わりました。

【9:現職で悩んでいる薬剤師へ伝えたいこと】

-最後に、多くの薬剤師の転職のお手伝いもされてきた佐々木さんが、現職で悩んでいる薬剤師へ伝えたいことは何ですか?

佐々木 悩んでいる原因は、ささいなことという場合もあると思いますが、人間関係で悩んでいる薬剤師が多いのではないかと思います。

その悩みの元となっている相手が、2年後、3年後、もしかしたら10年後も変わらず同じ職場にいるかもしれないのであれば、ずっとストレスを感じながら働くのは時間の無駄だと思うので、転職も視野にいれることをお勧めします。

たとえ上司が注意してくれたとしても、なかなか変わらないのが現実だと思います。人の性格は、変わらないことが大半ですからね。ただ、その人が1年後に異動するといった可能性があるのであれば、我慢して頑張るべきかもしれないです。

よって、まずはその苦手な人が近くにいるという前提で、自分がその職場で働けるかどうかを考えてください。もし働けないと思ったなら、その人が2年後、3年後といった長い間近くにいることになるなら、早いうちに新しい環境を目指した方がよいと思います。

~インタビュー後記~

佐々木さんはこれまでのご経験から、薬剤師の中でもトップクラスのコミュニケーションスキルを持っている方だと感じていましたが、当初はそんなことは無かったというのがとても意外でした。 調剤薬局や人材紹介会社、企業、セミナーや在宅医療と多岐に渡る佐々木さんのキャリアは、 薬剤師として働く方にも非常に参考になる働き方なのではないでしょうか。

これからも薬剤師資格を持った様々な方のインタビュー記事をアップしていきますので、お楽しみに。 また、インタビューを受けてみたいと思う方も募集しておりますので、お気軽にお声がけください。

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